系統確立について@

 故山下鉄夫氏は、細川英次郎氏から導入された細川勢山系の鳩を、独自の戻し交配と異血交配理論、そして厳しい淘汰を繰り返し、山下勢山系を確立されました。

 山下氏が生前に、山下勢山系の系統確立理論について文章化されていたものを、再編集のうえ、ここに公開するものです。



 勢山系は、代々に亘り、近親交配を重ねながら異血を重視し、血は濃いからず、薄からずを原則として、本日も続いている
 近親交配とは、メンデル遺伝学の法則 F2に相当する遺伝現象の集積で、非常に有利な結合の結果が期待される反面、非常に好ましくない結合が、それ以上に極めて多いということを知っておかなければならない。

 学説よりも、自身の選鳩法(選鳩眼)を養うことが、もっとも大切である。

 中距離用、短距離用の系統もあるが、私は、長距離に本領を発揮するものは、悪い天候にも強く、連続帰還が得られるので、自系統の基礎にするには、長距離鳩が成功を収めると思う。

 長距離レースにて輝かしい成績をあげるには、長距離性能のみならず、スピード性能を加えなければならない。いかなる天候、悪気流、外敵をも切り抜けるような鳩でなければ、必要条件とする飛翔能力は確認されない。また、能力を見極める方法は、訓練とレース以外には無い。スピード性はレースにより確認される。

 昭和の初期に勢山系を確立された、勢山庄太郎氏は、勢山系の特徴を次のように述べている

@ 翼が豊かであり、殊に主翼羽及び副翼羽の一枚一枚は幅が広く四角な形をしている。羽の重なりが十分で、色は灰である

A 腰が太くて、尾羽がよくしまっていて、一枚小判である。

B 尾羽は、少し上げ気味になる。

 好ましくない鳩を次のように述べている。

@ 尾羽を開くもの、下に下げるもの。

A 主翼をひろげてみて、硬いもの。

B 背骨を押さえて、山型にふくらんでいるも


勢山庄太郎作翔
勢山系代表基礎鳩SS278号 大正15−278 B ♀
昭和4年5月25日 釜山−大阪間600キロ優勝 羽のウロコは、今日の勢山系の特徴として残っている。
(山下氏所有の写真からコピーをとらせてもらいました。)


ゴールデンスター号 昭和14−50651 B ♂ 服部愛之助作翔 平戸ー大阪 600K 細川英次郎鳩舎基礎鳩 SS278の曾孫(レース鳩 宇田川竜男 鶴書房より転載)

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