放鳩訓練の検証@

放鳩訓練の是非については、様々な意見があります。
 猛訓練を敢行する鳩舎、無訓練派、仲間と合同で行う等。私も猛訓練を行った部類です。し
かし、レーサーの体調を無視して訓練を行った後のレース結果は、芳しいものではありません
でした。
 最近では、若鳩の基礎訓練か、ここ一番という時にしか行いませんが、訓練について私の
意見と経験を述べてみたいと思います。
 いろいろなご意見もあるかとは存じますが、訓練による失敗を人一倍続けてきた私の経験
が 何かの参考となれば、幸いです。
 特に猛訓練を行っているのに、どうしても結果の出ない方に読んでいただければ幸いです。



レースにおける帰還コースの推

 新潟県から大阪府へのレースにおける帰還コースを予想してみましょう。無論、実際に見た
わけではありませんが、地図と経験による推測です。帰還コースの推測は、訓練地選定の最
も大きな判断材料となります。




地図をご覧下さい。帰還地(大阪府高槻市)である大阪平野の最も北東側と、4〜500キロ
レースの放鳩位置である新潟平野が記されています。4〜500キロレースは、鳩レースの世
界では、中距離レースと位置づけられ、6〜9時間で帰って来る距離です。
 放鳩時には1000羽いた鳩達はかなり大きな集団で関西を目指しますが、関西でも兵庫県
の西側に帰る鳩もいれば三重県に帰る鳩もおり、関西に近づくにつれ緯度経度に開きが生じ
たり、体力差により集団にバラケが生じ始めます。優勝または上位入賞をする鳩なら、当然
自分で方向判定を行い、単羽による飛翔を余儀なくされることとなります。
 鳩は、帰還地に向いて直線に飛びます。障害となる高い山をうまく避けることが出来れば、
所要時間を短縮することが可能となりますが、無論、鳩は地図など持っていません。新潟平野
を抜けると、北、中央アルプスにぶつかります。鳩は標高1600メートルくらいまでの山を越え
ると言われますが、コース上には2〜3000メートル級の山もあるので、実際は谷を縫いな
らかなり遠回りをして帰って来ていると考えられます。力尽きて落ちた鳩を保護いただくこと
しばしばありますが、岐阜の飛騨高山、愛知県からの連絡が多いことからも、実際のコースど
りが推察されます。

直線帰還コースの標高差

新潟平野←−−−−→大阪平野


新潟平野から大阪を望む (2〜3000メートル級の北〜中央アルプスをまともに越えなけれ
ば ならない、帰還コースの困難さが推測される
大阪平野へ戻る鳩は、岐阜県の伊吹山の南側を通って滋賀県に入ると言われてます。ま
た、南下し過ぎた鳩は、鈴鹿山脈に帰還を阻まれるのか、伊勢方面で力尽きて保護されるこ
とがしばしばあります。
 滋賀県に入ると、琵琶湖を縦長に見ることになり、京都府南部を通って大阪南部に帰る鳩
と、京都市内を通って大阪北部や兵庫県南部に帰る鳩に別れていきます。そしてその分岐点
は滋賀県の八日市近辺ではないかと言われています。
 よく訓練を行っている鳩は、より早く集団から抜け出し、最短時間で鳩舎へ戻ります。
 鳩は本能的に集団で飛ぶ動物ですから、単独で飛び出すのは大変勇気が必要だと思いま
す。また、依存心の強い鳩は、他の鳩舎について行ってしまいます。
 私の鳩舎では、上位入賞出来る時は、北または北東から鳩が帰った時です。南から帰って
くるときは、大阪府南部に戻る鳩の集団について行った後、北上してきたと考えられます。最
短コースを飛んでいないので、上位入賞は期待できません。

大阪まであと120キロ強(2時間足らず)の距離(中央は滋賀県の琵琶湖です)

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